『ミニ四駆 超速グランプリ』を遊んで感じた3つの課題

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何の因果か、最近『ミニ四駆 超速グランプリ(以下『超速グランプリ』)』で遊んでいます。職場の同僚に勧められて、ミニ四駆の仕組みが面白そうだったから、という感じ。

さて正確な歳は伏せますが、黒杜は90年代の生まれであり、調べたところ当時はミニ四駆の第二次ブームだったらしく、『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』がコロコロコミックで連載されていたとか。

黒杜がコロコロコミックを読み始めたのは小学校四年生ぐらいなのでかすってもいませんが、何かの冊子の付録で読んだ記憶があります。故障した誰かのミニ四駆を誰かのマシンが後ろから押していたような、違うような。覚えていることとしては、とにかく黒杜はミニ四駆世代ではありませんでした。

最近は『アークナイツ』にうつつを抜かしているような青瓢箪が、今更『超速グランプリ』を遊んで楽しめるのか。いささか興味を覚えたので、とりあえずプレイしました。ウデマエは20で、ミニ四ワールドはMAP5までクリア済です。

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つべこべ言っている割には遊んでいるじゃないかと思った方。正しいです。ゲーム自体はシンプルで複雑な操作を要求されないので、仕事で枯れ果てたおっさんにはうってつけのスマホゲームです。

難易度はそれほど高くないですが、難易度を占める大半は「カスタム能力」。これに尽きると思います。

この『超速グランプリ』、仕様は同僚曰く当時のミニ四駆そのままです。レアパーツを着ければ強くなるとは限らない。パーツを付けすぎても遅くなるのでダメ。一部の強力なパーツは大会での使用が禁止となる。同僚氏は喜んでいました。

黒杜は不満げです。先日「ハイパーダッシュモーター」を引き当てたのですが、これは強力すぎるモーターなのでオンライン対戦「超速グランプリ」では使用禁止です。なのでストーリーやイベントでのみ使用できます。これ、スマホゲームの行動サイクルとして破綻しているんじゃないかと思いましたが、果たして。

ゲームの詳細などはミニ四駆 超速グランプリ | バンダイナムコエンターテインメント公式サイトにおまかせして、良い/悪いと思った点を列挙します。

GOOD:余計な操作がいらない 

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『超速グランプリ』のレースはミニ四駆そのもの。スイッチを入れて、シグナルに合わせてタイミングよく指を離せば仕事は終わりです。生後四ヶ月だろうが泥酔だろうがスイッチの押下に成功して、タイミングさえとれたらマシンを走らせられます。 半放置プレイができるので、現代人に合ったプレイスタイルですね。

それだけにパーツ選びがめちゃくそ重要です。シャーシ、モーター、ギヤ……何をどう組み合わせるかがタイムに直結します。改造、進化はもちろん大事です。ただ一番重要な(んだと思っている)のは、望んだ性能のパーツを持っているか否かです。

逆に言えばプレイスキルがド下手くそでも、赤ん坊であるがゆえにタイミングがまったくとれなくても、マシンさえ高性能なら勝てる可能性はいくらであるわけですね。

GOOD:チューンアップはロマン

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パーツ選びは、このゲームの作業時間の大半を占めます。パーツを組み替え、テストコース(エディット可能)を走らせ、タイムをチェックしては、またパーツを選び直す。ブームの渦中に生きた諸兄らは、何時間もかけてオキニのマシンをチューンアップしたに違いありません。

黒杜は基本脳筋の唐変木なんですが、『超速グランプリ』をはじめてチューンアップの魅力に気づいたような気がします。手間隙かけて一秒を削り出すという感覚はもはやスポーツですね。ミニ四駆はスポーツです。

BAD:UIが貧弱

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BAD出てくんのはえーな! 

いかにも、黒杜はそれなりに『超速グランプリ』へ不満を持っています。

まずUI。結論を言えば不親切。たとえばパーツの進化(レアリティ)を行うポップアップですが、

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小さい。数字も文字も小さい。ド近眼なのでなおのこと辛い。消費部分の空白はそんなに必要だったのか!? と言いたくなる矮小さ。

加えて、EXPアイテムの使用ルールがよくわからない。おそらく「固有パーツ、種別全体、全体にそれぞれ進化用アイテムがあって、合計60個あれば進化できる」ということだと思いますが、じゃあせめて「あと33個必要です」と書いてくれてもいいわけで。かなり不親切な出来になっていると感じます。

比較用に『ドラガリアロスト』の類似画面のスクショを貼っておきますが、雲泥の差です。さすがは天下のCygames、抜かりはありません。Cygamesさん、褒めておいたので金一封包んでくださいな。

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神は細部に宿るという言葉がありますが、細かな部分に込められた配慮は意外にもダイレクトにユーザーへ届きます。

本当にこの見た目で大丈夫か? ユーザー目線に立ったときに使用しづらいと思わないか? 十分に考慮していれば……あるいはフリープレイが入念に行われていれば、おっそらくこうはなっていなかったはず。おっさん世代向けなので、UI周りは文字を大きくわかりやすくを心がけたほうがいいんじゃないかな、と。

BAD:課金サイクル破綻の恐れ

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前述した箇所ですね。引用しておきます。 あとこのパラグラフは長くなるのでご了承ください。一番に近い不満点なので。

先日「ハイパーダッシュモーター」を引き当てたのですが、これは強力すぎるモーターなのでオンライン対戦「超速グランプリ」では使用禁止です。なのでストーリーやイベントでのみ使用できます。これ、スマホゲームの行動サイクルとして破綻しているんじゃないかと思いましたが、果たして。

繰り返しますが『超速グランプリ』の基本はチューンアップ。適切なパーツを組み合わせることでより速いマシンを生み出せます。当然、性能の高いパーツを使用すれば、速くなる可能性は格段に上がります。

しかしオンライン対戦では使用不可のものもある。そのパーツはガチャでピックアップ(=排出確率アップ)されている。これは部分的に課金サイクルが破綻していると感じます。

配信して間もない今はシナリオにイベントとやることがたくさんありますが、時間が経つとどうでしょう。超速グランプリの結果を待つだけの人が増える可能性はあります(イベントの頻度にもよりますが)。

これを「超速おじさん」と名付けるとして、超速おじさんの目的は当然「超速グランプリで良い結果を残すこと」です。超速おじさんは速くなりたい。速くなるにはチューンアップが欠かせない。新しいパーツを手に入れるために、何をするか。

ショップに置いてあるパーツは限られる。イベントクリアで手に入るパーツで満足するとは思えない。結果、ほとんどの超速おじさんはガチャを引きます。

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苦労して最高レアリティである星4のパーツを引いたとして、もしそのパーツが超速グランプリで禁止されているパーツだったら?

確定演出の喜びもつかの間、超速おじさんは「超速グランプリで速くなりたいのに、禁止されているパーツを引いてもなあ……」という思いになるかもしれません。課金して引いたかもしれないのに、これではあまりにも不憫。

ゲーム性の基本は「課題・挑戦・報酬」のサイクルです。ガチャで良いパーツを引くのは運命力が試されるので、ゲーム内の挑戦のひとつ。その結果得られた報酬は、形はどうあれユーザーにメリットをもたらすものでないとゲーム性は成立しません。苦労して手に入れた伝説のポケモンも、対戦で使えないなら役に立ちません。

当然これはユーザーによりけり。ですが、ミニ四駆のシステム再現とはいえ、安易に禁止パーツを出すべきではないと感じました。強いパーツを使用されたらバランス崩壊するというなら、それは強いパーツを実装した側の問題です。

現実で禁止パーツになっていたからこそ、ゲームではある程度調整されるのが筋ではないかと思いましたが……同僚にも見受けられたように、「ちゃんとハイパーダッシュモーターが禁止パーツになってる! 再現度ヤバイ!」と喜ぶ人もいるということで、あながち間違いではないのかもしれません。

ただ、これからもゲームを運営していくことを考えると、禁止パーツで雁字搦めにすると、間違いなく自分たちの首を絞めることになると思います。

BAD:アプリのレスポンスが微妙

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これも細かい部分の指摘。悩んだ結果、レスポンス(反応)という言葉を選びました。

例を挙げるとガッツ(スタミナ)回復。ウデマエ(レベル)が上がるとガッツが全回復……ではなく、ガッツを99(最高値)回復できるアイテムが手に入るだけで、ガッツは自動で回復しません。

加えて、ガッツが足りない状態でレースに行こうとすると、ポップアップで回復アイテムの使用を求められます。で、使用するまでは問題ないのですが、使用したあとにもう一度回復アイテムの使用を求めるポップアップが出る。

イケてない実装です。ユーザーはもうエントリーボタンを押したんだから、回復したらそのままエントリーさせちゃえばいい。このあたりのシステムはCygamesの『ワールドフリッパー』なんかが非常に優秀ですので、試しに遊んでみてください。再三言いますがCygamesの回し者じゃないよ!

他にも、パーツの選択方法だとかストーリーモードのレベルシステムだとか、レスポンスの低い箇所は見受けられますが、書き始めると長くなるので心のなかに留めておきます。ストーリーモードのレベルシステムは心底イライラするので、あまり書きたくないというのもあります。あれだけは早めに改修したほうがいい。

総評:ミニ四駆orカスタム好きなら遊ぶ価値アリ(かも) 

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断定はしません。チューンアップという言葉に惹かれる、ミニ四駆ブームど真ん中で大会にも出場していた、今でも週末は博多のヨドバシでシャイニングスコーピオンを走らせているなんて人にはオススメできる可能性があります。

あくまで予想ですが、一過性が強いと見ます。息の長いコンテンツになるかは運営方針次第。ミニ四駆世代にとって魅力のある=課金する価値のある施策を打ち出せれば、ブーム再燃も見えてくるかもしれません。『超速グランプリ』は猛然と走り続けられるか、あるいはコースアウトするか……レースは始まったばかり。