RTAイベントにおける"不正"で変わること

先日、こんなニュースに目が留まりました。

www.gamespark.jp

あらま、という感じ。「SGDQ2022」とは世界最大級のスピードランイベントで、その中で不正が行われてしまったということになります。ちなみに私も参加しました。

今日はRTAイベントにおける不正が変えてしまいそうなことについて、自分の推測をしたためます。あくまで推測ですのでご容赦。

不正とは

ズルです。バグのことではない。バグを利用してAny%のクリアタイムを縮めることをチーティングとする風潮が存在する界隈もあるようです。わからなくはない。

じゃあどこからがズル?

たとえば連射機。Speedrun.comに登録される記錄において、ゲームルールなどに特記事項がない限り連射機は禁止されています。禁止されているのに使用するのはズルです。

たとえば動画の切り貼り。いい感じにうまくいった場面を切り貼りして繋いだものを記録動画とするのはズルです。前述したSGDQでの不正もこれに該当します。

たとえば、プレイしていない動画を自らの記録動画と言い張る行為。THE・エンドってね。これもズルです。

一方で、ぶっ壊れバグを使ってめちゃくちゃ速いタイムでクリアすることはズルではありません。PCスペックを高めて処理速度を早くして爆速でクリアすることも、筋肉を鍛えて連射速度を連射機並みに早くして記錄を出すこともズルではありません。

これらの違いってなんでしょうか。

なんでしょうね。

よくわからないです。道徳的な問題か、感情論の問題か。法律でルールが定められているわけではないので、スピードランコミュニティではしばしばルールに関する議論が行われます。定義こそゲームごとに異なりますが、基本的にRTAは「ゲームを最初から始めて、クリアするまでの実時間」を計測する遊び方なので、その定義に反するもの+常識的に考えて大多数に不正だと指摘されるものに関しては、不正として取り扱われるように思います。

正直、不正に関する話は苦手なのでこのへんでおしまいにします。

不正が変えること

近年はオンラインのスピードランイベントが増えていました。諸々の感染に影響されたものですね。オンラインイベントは遠方の走者でも、違う国の走者でも参加できる素晴らしいイベントですが、不正のしやすさに繋がるという弱点も孕んでいます。

オンラインの走者が映している画面が、本当に今プレイしている画面だとは限りません。オフラインでは一目瞭然ですが、オンラインはプレイを生で見ている人が殆どの場合存在しませんから、いくらでも不正ができてしまいます。

といった状況下でもイベントにおける不正がほとんど出てこなかった理由は、なんでしょうね。そこまでする価値がなかったか、ありはしたものの選考の段階でふるい落とされていたか。理由はいくつかあると思います。

今回、世界最大級のスピードランイベントで不正が発覚してしまったことにより、日本のRTAイベントを運営する人々も、なんらかの不正対策を講じなければならなくなるのではと考えています。

たとえば……

  • イベント参加者を公募ではなく、運営内で信頼できる走者を選定する。
  • オンラインイベントにおいて、WEBカメラの使用を必須条件とする。
  • イベントで不正を働いた走者はイベントから追放する。

など。

不正が横行するのなら、ルールを厳しくしなければならないのが世の常です。しかし、ルールの厳格化は門戸を狭くすることにもつながってしまいます。

たとえば走者の選定が公募なしで行われてしまうと、イベントに参加できる走者は限られてしまいます。いわゆる「RTA走者のプロ化、エンタメ化」につながります。WEBカメラを使用したくない、プライバシーを守りたい人はイベントに参加することが不可能になります。杞憂かもしれませんが、ルールはちょっとしたトラブルで一変してしまうものですから、油断はできません。

私も個人でRTAイベントを企画していますが、例に挙げた項目をルールに盛り込むつもりはありません。性善説を信じていますし、私自身がルールで雁字搦めにされるのが好きではないからです。

RTAイベントのエンタメ化が進行していく中で、さらに不正がまかり通ってしまうようになると、RTAイベントの陳腐化が始まってしまうのではないか……というのはまた別の話。話が長くなるのは嫌いなので、今回はこのあたりで締めとします。

不正がRTAイベントをどう変えていくのか。行く末は我々プレイヤーに委ねられています。

ではまた。