『宇宙よりも遠い場所』へ行くために必要なもの

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今更ながら『宇宙よりも遠い場所(以下『よりもい』)』を見ました。女子高生4人が宇宙よりも遠い場所南極大陸を目指す話。

見終えて、感じたことを書いていきます。

テーマ:何もないから、仲間と手をつなぐ

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物語から見出すテーマは十人十色です。勇気の物語かもしれませんし、愛、友情の物語でもあります。シカダが『よりもい』から感じ取ったのは表題のメッセージです。

主役格となる4人の女子高生は、形はどうあれ、独りです。彼女たちが出会って、思いの丈をぶつけあって、絆を深め、手を取り合っていく。そうやって育まれた絆は離れても忘れることはない。いつかまた4人で旅に出る。そういう物語でした。

言ってしまえば、報瀬以外、南極に来る目的は持っていません。それでも行く。どうして? 言葉や形では表せないんだと思います。

ストーリー:ツッコミどころはあり

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突っ込みたくなるところはあります。日向がパスポートなくしたときに、どうして全員の荷物を確かめなかったんだろうとか。報瀬の母・貴子のいなくなった経緯とか。

その他にも予定調和というか、人によってはご都合と捉えられる展開もあります(白石母の報瀬訪問など)。そこを許容でき、楽しむことができるかが、満足の行く視聴のための分水嶺です。理路整然としていなければ貧乏ゆすりがでる人は、見るべきではないかもしれません。

思うのは、この作品はどんでん返しが仕込まれたミステリーの快作ではなく、星空を見上げるような気分で見たほうが良いということです。ラストの対極的なオチも良かった。

キャラクター:活力にあふれている

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全員が色濃い個性を持っているわけではありませんが、譲れないものがあったり、猪突猛進だったり、タレントだったり、目立つ部分があります。日向は例外的に個性が盛り盛りで、性格的にも出番が多かったですね。

4人以外も、設定が作り込まれたキャラクターこそ多くはないですが、愛嬌があり、見ていて楽しいキャラクターが多いです。明確な悪役がいないので、悪意の類が苦手な人でも比較的大丈夫です。ただ、5話はちょっぴり胸が苦しくなるかも。

それぞれのキャラクターが友達と触れ合うことで、徐々に過去を乗り越えていく姿は勇気をもらえます。仲間となら、友達とならどこへだって行ける。きっとまた旅に出る。そう思わせてくれます。

総評:青春を追体験する、非日常的な日常アニメ

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学校を卒業して10年も経てば、当時のことはほとんど忘れてしまいます。「青春ってなんだろう」と思ったときは、『よりもい』を見れば、答えが浮かび上がってくるように思います。必ずではないかもしれません。

 

でも、青春のそばには、きっと誰かが寄り添っていたことを、思い出せるはず。

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