最近のラノベは、まだ「長文タイトル」が流行っているのか調べてみた

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こんばんは。引っ越しを機にラノベをことごとく売り払った津上です。ビバKindle

 

以前、あるメディアでライトノベル担当をしていた時、「今年(2015年)のラノベのタイトルの平均文字数はどれくらいなのか?」という数奇なことを調査したことがある。その時の平均は15文字だった。最近で言えば『Re:ゼロから始める異世界生活』『戦うパン屋と機械じかけの看板娘』などが該当。いわゆる文章系タイトルに比べると、別にそこまで長い印象はない。

 

とまあ、ここまでが2年前の話。じゃあ今年出たラノベのタイトルの平均文字数はどれくらいだったのよってのが今回の話。最近は少しラノベから離れてたけど、以前推していた『異世界食堂』や『ナイツ&マジック』とかがアニメ化しててほくそ笑んでいた。この流れで『霊感少女は箱の中』もアニメ化しないかな。アレは無理か。

 

与太話は置いといて、今回も簡単に調べてみた。詳細は続きから。

 

「タイトルの長さ」の定義

調査結果を載せる前に、今回の調査の定義を簡単に載せておく。

  • 英語も日本語も1字ずつカウント
  • サブタイトルは含めない(※)
  • スピンオフは原作と同じ部分のみ(このすばスピンオフとか)
  • 二つ名系は読みではなく字面で見る(落第騎士の英雄譚とか)
  • ナンバリングの数字は対象外(英雄教室4とか)
  • 集計対象:2017年1月~6月に発売されたラノベ(主要レーベルのみ)

※ただし、文章系のサブタイトルは集計対象とする(=文章系タイトルが増えているかどうかの基準にもなるため)

例:メイドさまシリーズ

第1巻「ご主人さん&メイドさま 父さん母さん、ウチのメイドは頭が高いと怒ります

第2巻「ご主人さん&メイドさま 父さん母さん、ロボットメイドはしまぱんです

 

 メイドさまは打ち切りになったけど馬鹿馬鹿しくて最高なので読んでね。

 

基本的にサブタイトルを含めない理由は、含めてしまうとソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン』 とかがバランスブレイカーになってしまうというデジャビュがあるから。カタカナの暴力って怖いね。

 

今回データベースとさせていただいたのは、ラノベ読み御用達のラノベの杜。対象レーベルは主要レーベルということで、電撃文庫角川スニーカー文庫富士見ファンタジア文庫ダッシュエックス文庫ファミ通文庫講談社ラノベ文庫GA文庫ガガガ文庫MF文庫JHJ文庫オーバーラップ文庫に絞ってみた(書店員時代の棚の大きさ参考)。案外ノベルスが長文タイトル多いのだけど、今回は割愛。また次の機会に。

 

それじゃ早速行ってみよう。集計ミスがあったらご愛嬌。

 

 

1月

 

対象作品数:75

合計文字数:1233

平均文字数:16.4

最長タイトル:黒ギャルが異世界に転生してダークエルフと勘違いされました ~モンスターもマナもマブって実は最強~(47文字) 

小話:集計をしてみて、長文タイトルでもまた新しいのが出てるんだなあと思った。『異端の神言遣い 俺たちはパワーワード異世界を革命する』とか。黒ギャルとかパワーワードって単語をタイトルで使っていいのか……。一番短かったのは『英雄教室』。

 

 

2月 

 

対象作品数:80

合計文字数:1528

平均文字数:19.1

最長タイトル:異世界温泉に転生した俺の効能がとんでもすぎる~アンタの中が気持ちいいわけじゃないんですけどっ!?~(49文字) 

異世界温泉に転生」あたりで脳の処理が追いつかなくなった。逆に読みたくなる。しかし、1月の黒ギャルと表紙の構図がやや似て……って同じ作者じゃねえか!狙ってやってるだろコレ!一番短かったのは『異世界拷問姫』かな。

 

 

3月

 

対象作品数:87

合計文字数:1640

平均文字数:18.9

最長タイトル:縫い上げ!脱がして?着せかえる!!彼女が高校デビューに失敗して引きこもりと化したので、俺が青春(ファッション)をコーディネートすることに。(69文字) 

3月の最長タイトルは、意外や意外、電撃文庫から。まあ大御所が『ぶーぶー』『女子トイレの神様』みたいな作品を出しているので、時流に沿っているのかもしれない。一番短かったのは『愛坂タカト』。……人名?

追記:作者名でした。失敬。

 

 

4月

 

対象作品数:79

合計文字数:1501

平均文字数:19

最長タイトル:異世界監獄√楽園化計画―絶対無罪で指名手配犯の俺と〈属性:人食い〉のハンニバルガール―(43文字) 

ピッタリ割り切れて気持ち悪くなった。2月から続けて平均が19文字程度。1月はそうでもなかったけど、段々と長文化の傾向が強くなっている気がしてきた。まあ、『Chaos;Child-Children'sRevive-』とかをどうカウントするかで、細かい部分は変わってきそうだけどね。一番短かったのは『イックーさん』他。いつのまに文庫が……。

 

 

5月

 

対象作品数:78

合計文字数:1270

平均文字数:16.3

最長タイトル:異世界ならニートが働くと思った?エルフの姫に丸投げして他国で好き放題します。(38文字) 

最長文字数は控えめだけど、平均はそこそこ。文章系であるなしにかかわらず、タイトル自体が長くなっている傾向にあるのだろうか。最後に「文章系タイトルの占める割合」も出してみるので、チェックするがよろし。一番短かったのはまたも『英雄教室』かなあ。

 

 

6月

 

対象作品数:77

合計文字数:1451

平均文字数:18.9

最長タイトル:若者の黒魔法離れが深刻ですが、就職してみたら待遇いいし、社長も使い魔もかわいくて最高です!(45文字) 

森田季節さん! 森田季節さんじゃないか! こういうタイトルやらない人だと思っていた(勝手な思い込み)。平均はやはり19文字程度に落ち着いた。一番短かったのは『キモイマン』。火の玉ストレート。

 

 

調査結果

半年分をまとめたものが以下の表になる。

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主要レーベル476作品、タイトルの平均文字数はおよそ18文字という結果になった。もちろん計測方法によって多少の差異はあるだろうけど、最終的な数値に大きな違いはないだろう。二年前からは平均3文字程度長くなっている……という結論になる。

 

でも、だからといって「ラノベの長文タイトル化が進んでいる! ラノベはクソ!」とは言えない。なぜか? 単純にタイトルが長い作品(オンリーセンスオンラインなど)もあるので、タイトルの文字数が長くなった=長文タイトルが増えたと断言することはできないからだ。

 

ここでもうひとつの疑問、「それじゃあ、長文タイトルはだいたいどれくらいの割合で存在しているの?」というものが浮かんだ。引き続き調べてみる。残念だったな! まだこの記事は終わらんぞ!

 

 

調査方法

非常にシンプル。平均文字数18文字より長い作品を抽出し、その中での文章系タイトルの割合を求めるだけ。長文タイトルの定義は、以下の通り。

  • タイトルが18文字~
  • タイトルorサブタイトルに文章(助詞、動詞などで適宜判断)を含む

まあ書いてある通りだ。人によって「これは文章系じゃない!」と思う思わないがあると思うので、多少の誤差はつきものということで。

 

 

調査結果

余計な過程を省き、早速調査結果だけど、18文字以上のタイトルは176作品。そのうち、文章系タイトルと判断したものは109作品。その割合は62.33%という結果が出た。分析する人によって数値に違いは出ると思うので、そこはまあ、適当に。

 

結果を見ると、タイトルの長いラノベの6割が長文系タイトルだった、ということになる。なるほど、これじゃあ多いウザいと言われても仕方ない。ノベルスなんかはもっと高い割合で存在しているかもしれないね。

 

 

まとめ

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長文タイトルのラノベは、相変わらず多い傾向にあることがわかった。このブームがいつまで続くのかはわからないけど、小説家になろうカクヨムでそういった作品が執筆され、書籍化されていくうちは、各小説賞で長文タイトルが受賞していくうちは、その母数は減りそうにない。

 

そもそも長文タイトルは、本当にブームなのか? 週刊少年ジャンプが掲げる「友情・努力・勝利」のような、ライトノベル全体の新たなテンプレートではないのか? それともラノベ界隈のビジネスモデルなのか? 一定数売れてしまうから、作者のつけたタイトルで通しているだけなのか?

 

いくらでも考えようはある。正解はきっと誰にもわからない。わかれば苦労はしない。もしかしたら、ひらがな4文字タイトルのように、長文タイトルも段々と廃れることになるのかもしれないけど、それはまだまだ先の話みたいだ。

 

ではまた。