スマホゲームは「縦画面」と「横画面」どっちが多いのか。調査で感じた2つの展望
つい先日『アークザラッドR』の配信がはじまったとき、なんとなく思ったことがある。それは少し前に『世紀末デイズ』をはじめたり、よく遊んでいる『実況パワフルプロ野球』にも当てはまることだった。
最近のスマホゲーム、縦持ちが多くない?
もちろん縦ばっかりというわけじゃない。大人気の『Fate/Grand Order』は横持ち、配信以来遊び続けている『アナザーエデン』だって横持ちスタイルだ。『デレステ』をはじめとしたリズムゲームも基本的には横画面だろう。
しかし長寿タイトルの中には『モンスターストライク』『パズルアンドドラゴンズ』のように縦画面のものが多いのも確かだ。
特に最近は『どうぶつの森 ポケットキャンプ』のような任天堂タイトルはほぼ縦画面で、話題の『アークザラッドR』も縦画面。一時期に比べて、なんだか縦画面で遊ぶゲームが増えた感覚がある。
この感覚は自分の気のせいなのか、それとも現実に縦持ちゲームが増えてきているのか。ささっと調べてみたので、結果とともに今後の展開についてもぼんやり考えてみる。
検証①:2018年現在
まずは2018年現在のスマホゲームはどのような割合になっているのか調べてみる。データ元としたのはこちら。信用に足るサイトかは不明だけども、実機のランキングと相違なかったのでまあ良しとする。
調査にあたって抽出条件は以下とした。
- 対象は「App Store」
- カテゴリはゲームジャンルの「トップセールス」
- 抽出日は2018年8月21日
- 抽出件数は「TOP300」
まずApp Storeのみとした理由は筆者が仕事明けで疲れていた(重要)のと、GooglePlayも含めたところで大勢は変わらないだろうと判断したため。 GooglePlayも含めたほうがよければ誰か調べてほしい。自分にその気力はない。
カテゴリはトップセールス。今人気かどうかではなく、純粋に今も遊ばれているかどうかを調べるにはこのカテゴリが一番良い。抽出自体は少し前に行ったのでちょっとだけデータは古い。数日なので良しとする。
件数に関してはお察しの通り疲れていたからである。本当は500件はさらったほうがいいんだろうけど、個人の趣味ブログでそこまでやってらんねえ! と思って300件にとどめた。それでもそこそこ面倒だったので若干後悔した。そのため後述の調査では100件にとどめたことを許してほしい。
前置きが長くなったけど、早速データを見てみよう。
ランキング上位は「縦画面」優勢、しかし……
貼るかどうか悩んだけれど、調査した以上は結果を載せておいたほうが良いと思ったので、以下に一部を記載! そこまで長くはないけど、スマホの方は鬼スクロールでお願いします。タイトル自体はあまり関係ないのですっ飛ばしてもOK。
お疲れ様でした。全部をまとめたリストは以下にまとめたので好きに持っていってください。多分ないだろうけど、何かで使用するときは一声いただけると嬉しいなって。
AppStore_スマホゲーム_トップセールス_20180821(PASS:2018game)
気を取り直して、すべてのデータを取りまとめてグラフ化したものが以下。
グラフを見てわかる特徴は
- 上位50作品は横画面より縦画面の割合が少し多い
- 51位以下は同数、もしくは横画面の割合が多い
といったところ。
なんとなく予想はついていたけど、やはり上位は縦画面のゲームが多めになっているようだ。最上位こそ『Fate/Grand Order』がかすめとったが、以降には『実況パワフルプロ野球』『シノアリス』『モンスターストライク』『Pokémon GO』などのタイトルがズラリ。上位50作品においては辛くも縦画面が優勢となった。
しかし51位以降になるとだんだん横画面が勢いを増してくる。調べていて改めて気づいたけども、やはりシミュレーションがかなり多い。『ヘイ・デイ』に代表される箱庭ゲーや、『大三国志』などの戦略シミュレーションゲームタイトルが頻繁に出てくる。
特に三国志を題材としたゲームはかなりの量があった。『タガタメ』なんかもそのひとつになるだろう。シミュレーションゲームは基本的に腰を落ち着けて遊ぶことが多いので、遊び慣れた横画面のほうがいいのかもしれない。
また500位までの総数で比べると、縦画面が142作品、横画面が158作品で、わずかに横画面が優勢ということになった。
理由はひとつではないだろうが、近年はスマートフォンの性能が向上し、またディベロッパーの技術革新も進んだことで、従来のTVゲームと変わらないクオリティのゲームを作ることができるようになった。TVゲームは文字通りTVで遊ぶゲームのため、基本的には横長の画面。携帯機でもそれは変わらない。そうした要素が積み重なった結果、スマートフォンでもTVゲームと同様、横画面のゲームが出現するようになったんじゃなかろうか。
特に『FORTNITE』のようなPCでもスマホでも遊べるゲームは、システムを統一できたほうがいいだろう。同ケースの場合、PC版が出てからスマホ版が出るパターンが多く、PC準拠にした結果、横画面になったということが多そうだ。そもそもスマホゲームをPC移管するのはなかなかのレアケースだと思う。知っている限りでは『ガールフレンド(仮)』くらいか。スマホ主流となりはじめた今では後者が多くなることもありそうだけども。
閑話休題、兎にも角にも最近のスマホゲームは縦画面がそこそこ多いけど、横画面ゲームもそこそこ根強い。まとめるとこんな感じ。
- 上位には縦画面が多め
- でも全体を見渡すとまだまだ横画面が多い
- ランキングにはTVゲーム準拠のゲームやシミュレーションなど、腰を据えて遊ぶものが多い
- そのため横画面が多くなったのでは?
まあこのあたりは喧々囂々意見があるだろう。それは一旦捨て置き、今度はタイムスリップして、ちょっと前のスマホゲーム界隈はどうだったのかを覗いてみよう。というわけでふたつめの調査。
検証②:2012年当時
今から6年前、2012年は9月に「iPhone5」が登場した年。自分もこのときにAndroidのIS03からiPhone5に買い替え、『パズルアンドドラゴンズ』で遊ぶようになった覚えがある。めっちゃ懐かしい。この頃からスマホも段々と性能が向上し、ちょっと複雑なゲームも登場してくることになる。というわけで2012年のランキングも軽く見てみよう。
抽出に使用したのはこちら。正直昔のデータをさらってくるのは少し面倒だったので、この辺のサイトでも良しとした。他にも良いサイトが合ったかもしれないけど、眠たい目をこすりながら調べていたので許してほしい。今からはやる気力がない。
抽出条件は以下の通り。
- 対象は「App Store」
- カテゴリは「無料ゲーム」
- 抽出件数は「TOP100」
カテゴリはこれしか見つけられなかったのでひとまずこれで。2018年のゲームも買い切りの有料ゲームはあまりなく、ほとんどが基本プレイ無料ゲームなのでこちらのほうが正確性は高いだろう。抽出件数が少ないのはサイトの仕様もあるけど、まあ前述したとおりお疲れクタクタ丸だったので許していただきたい。
2012年時点で圧倒していたのは……
今回は抽出件数が少ないけど、それでもそこそこの量なので途中は割愛。
やばい、懐かしのタイトルが多くて泣きそうになる。beat gatherとかやってたなあ。
当たり前だけど、とにかく懐かしのゲームが多く、そして何よりも圧倒的に縦画面のゲームが多い。以下が1-50位と51-100位で分けたときのグラフになる。
分けた意味があまりないけど、差は歴然だ。総数で見ても縦画面が66作品、横画面が32作品と、2作品のブランクを考慮してもほぼダブルスコアの状態。
これだけの差ができた理由は、おそらくまだスマホ文化が根づいていなかったからだろう。調べたところ、2012年のスマホ普及率は18%。2018年の79.4%と比較するとやはりまだまだ少なかった。まだまだガラケーが主流だった時代だけに、まずはスマホに慣れてもらうためにガラケーと同じ縦画面のゲームが多かったのかもしれない。
また棒人間を用いたゲームが多いことから、単純に開発環境が整っていなかったor個人のゲームが多く、企業がまだそれほど多くアプリ開発に参加していなかったことも考えられる。上位のゲームも『おさわり探偵小沢里奈』『太鼓の達人』など、比較的スマホ移植が容易だと思われるゲームが多く、完全オリジナルのタイトルは『パズルアンドドラゴンズ』などにとどまっている。
当時はまだスマホ人口が控えめだったことから、利益を求める企業としては「まだ参加するに早すぎる」という状況だったのかもしれない。そう考えると『パズルアンドドラゴンズ』は2018年現在もサービスが続いていてトップセールスも上位。かなり上手いことやっていると言えるだろう。改めて化物アプリだということを思い知った。
話題が少し逸れたけども、スマホ黎明期から脱出しかけの2012年の縦横ゲーム割合については以下のようにまとめられる。
- 全体的に縦画面のゲームが多い
- 当時はまだガラケーが優勢だった
- ガラケーと同じ感覚で使うため、縦画面のゲームが多かったのでは?
考察:今後のスマホゲームの行く末は?
調査をしてみた結果をまとめると、「昔のスマホゲームは縦画面が多かったが、最近は横画面のゲームが多い。ただし上位は縦画面が優勢」となる。たった10件の差とはいえ、2018年現在、スマートフォンの性能が向上してTVゲームさながらのアプリも登場しているなか、なぜ上位に縦画面のゲームが並んでいるのか。
色んな考えはあるだろうけど、自分はやはり「スマートフォンの浸透」がひとつカギになると結論づけた。
現在、スマートフォンは8割近くの人が所有している状態。60代のスマホ所有率がガラケーを初めて上回ったというデータもあり、凄まじいスピードでスマートフォンは私たちの暮らしに浸透してきている。理由は企業努力だったり、技術の進歩だったり、ライフスタイルの変化だったりと様々だ。歩きスマホが社会問題として扱われるように、スマホは未知の存在から生活必需品へとその姿を変えている。
では生活必需品と考えたとき、スマホはどのように持つのが正解か。
たとえば電車での光景を想像してみよう。スマホを横に向けてLINEを打ったり、電話したりしている人はいるだろうか。歩きスマホは縦向きと横向きどちらが多いだろうか。これは自分の経験上でしかないけど、普段使いのスマホはやはり縦向きで使うことが多い。『Fate/Grand Order』を遊びながら歩く人種はそう多くないと信じたい。してる人がいたらやめてね。
ランニングや家計簿など、ライフスタイルにフィットするアプリの多くは縦向きで使用する。なぜ縦向きが多いのか? それはアプリが縦画面仕様である前にスマホの形が縦長だからだ。
スマホを日常的に使うなら、性質上、横向きで使うよりも縦向きのほうが好都合だろう。もしも最初に作られたスマホが横長だったのならまた違う未来が待っていたのかもしれない。最初期にそういう端末があった気もするけど、結局普及はしなかった。現代の人々は間違いなく「スマホを縦向きで使うのが当たり前」になっている。
そう考えたときに、スマホゲームの未来はふたつに分かれると思った。ひとつは「縦向きでサクッと遊ぶ、日常生活にフィットするゲーム」。もうひとつは「横向きでじっくりと遊ぶ、オールドスタイルのゲーム」だ。
すでに時代は流れに乗っている。たとえば『Pokémon GO』は日常的。『アナザーエデン』はオールドスタイル。おそらくこれらふたつの種類のゲームが混じり合うのは難しいだろう。実現してもそれはもう少し先の話になる。こんなことは調査なんてしなくてもぼんやりと考えればわかることだろうけど、調査をしたことでより明確な未来が見通せた気がする。
裏を返せば「縦向きだけどやりこみ型」だったり「横向きだけどサクッと遊べる」スマホゲームは息が長くないと言えるかもしれない。あくまで理論の話なので現実は少し異なるだろう。それぞれの向きでやりこみ型かどうかを調べてみても面白いかもしれないけど、今回の調査はここまでとしたい。残りの調査は有志に任せた!
ただひとつ言えるのは、縦画面だろうが横画面だろうが、ゲームの人気そのものには関係がないということだろう。縦画面だから人気とか、そういう定義は作られない。ああ、有意義だったのかそうじゃないのかよくわからない調査だった!
ではまた。